東京ファッションタウンで10月のセミナー開催

「うつ」をナイチンゲール看護論で解く!

10月19日(土)~20日(日)

久々に会場をりんかい線沿いに移して、後期のセミナーを開始しました。

19日の内容は、7月6日に御茶ノ水で行なわれた講義と同じ“『看護覚え書』を現代の視点で読み解く”でした。12月まで続く今回の5回シリーズでは、看護職以外の、これからの地域包括ケアの担い手である多職種の方々をもお誘いして、「生命の回復過程=生体の回復のシステム」や「いのちのしくみ」というKOMI独自の切り口が、多職種共通の知識や言語と成り得るか、という点を主に聞いていただき、今後この課題について検討していく布石にしたいと思っております。参加者の皆さま、この点に関するご意見をどしどしお聞かせください。

東京ファッションタウン(TFT)は、「ゆりかもめ線」の「ビックサイト駅」と連結しており、大きな建物です。ロビーもたいそう広く、1時間おきに高い天井からシャワーが降ってきて、所定の床に落ちてきます。建物の中にあって水に触れることができ、シャワータイムは憩いの時間となっています。

20日(日)は、本セミナーでは初めての企画で〝うつ”をナイチンゲール看護論で解く!というテーマで行なわれました。うつ病は現代病として広く認知されていますが、薬を飲んでもなかなか治癒せず、長引く病です。そしてこころの病としても知られ、不眠、倦怠感、焦り、便秘、希死念慮まで、様々な辛く、苦しい身体症状に苛まれます。

今回は、9か月にわたる自らのうつ症状を脱出して見事に社会復帰した後生川礼子さんにお話を伺いました。ナースであった後生川さんは、家事も育児も仕事も、日常の全ての行動ができなくなり、人間としての感覚を失い、辛い身体症状をかかえ、薬に頼る毎日を送っていましたが、ある時から薬に頼る生活から脱し、生活のあり方を変えることで生還した体験を持っています。この治癒過程はまさに「ナイチンゲール看護論」の実践過程だったと話してくださいました。光を浴び、散歩をし、食事を工夫し、眠る環境を整え、五感を大事にした生活によって、完全復帰したそうです。そして今では同じ病にある人々の役に立ちたいと、「うつ専門カウンセラー」として仕事をされています。後生川さんのお話は涙なくしては聞けませんでした。うつ病は生活習慣病である!ということを身をもって証明してくださったのです。

次に、獨協医科大学埼玉医療センターこころの診療科教授の井原裕先生にお話をうかがいました。先生は日本では唯一、薬を使わない診療科を開いておられます。後生川さんも井原先生のご指導の下、薬から完全に離脱したと言います。先生のお話は笑いもありで、たいへん面白く、しかし本質を突いた素晴らしい内容でした。「うつ病は脳の慢性炎症である!、うつ病は生活習慣病である!」ということをわかりやすくお話しくださいました。

「毎日7,000歩歩いて、7時間眠り、お酒を断つこと」これだけでうつ症状は消えていくと力説されました。目からうろこ!納得です。うつ病とはこころの回復過程であるともおっしゃいました。

これほど「うつ症状」と「ナイチンゲール看護論」が根本的なところで結びつくとは思いませんでしたから、私は心底、嬉しかったですし、論理的にもスッキリといたしました。アンケートからも賛意の声が鳴り響いていました。

井原先生、後生川さん、素晴らしいご講義をありがとうございました!