劇団四季「ゴースト&レディ」開幕
ナイチンゲールとゴーストの物語ですが、素晴らしい!
5月6日(月)
劇団四季の最新ミュージカル「ゴースト&レディ」が、6日に東京で開幕しました。
ストーリーは、藤田和日郎作『黒博 ゴースト&レディ』という漫画が原作ですが、見事なミュージカルになっています。
私は、四季編集部の方から、公演中に配布されるパンフレットに掲載する「フロレンス・ナイチンゲールの生涯」という記事を書いてほしいという依頼をいただいたことで、この企画を知りました。藤田氏の漫画を買い求めて読み、その奇想天外な着想に驚きました。しかしとても心を動かされたのです。(パンフレットも読む価値大です)
物語は、若きナイチンゲールが抱いていた看護師になりたいという夢が、家族からの大反対にあって実らず、結婚も断念して絶望のどん底にあった時期から始まります。原作では、彼女の“絶望感”が1つのテーマです。あまりの絶望ゆえに死を覚悟し、ゴーストの「グレイ」に自分を殺してほしいと願い出るのですが、すぐには殺してもらえず、グレイとともに戦場に行くことになります。クリミア戦争の最中に起こる様々な事態に、これまた絶望しながらも、しかし希望を形にしてやり遂げていくナイチンゲール。
この続きは、どうぞご覧になって味わってください。
素晴らしいミュージカルでした。アクターたちの歌声やダンスも一流ですが、舞台装置の見事なこと、最新のテクニックが駆使されています。引き込まれて3時間がアッというまでした。
私は、不思議なことにこの日、若き日のナイチンゲールに出逢った気がしました。そして彼女から看護界に向けたメッセージを受け取ったようにも感じました。
この企画のストーリーは、明らかに、まぎれもなくフィクションなのですが、そしてそれゆえかもしれませんが、新しいナイチンゲールの一面を見た思いがしています。芸術の極みというのでしょうか。過去に伝記作家たちが紡いだおぞましいストーリーには怒りが沸きますが、このストーリーは爽やかです。
皆さま、是非一度劇場に足を運んでみてください。そして若きナイチンゲールが生きる最高の芸術の世界に浸ってみてください!